2007年9月1日土曜日

駆け込んでも留守「110番の家」 市内で相次ぎ関係者困惑 「犯罪抑止効果も」

不審者に声を掛けられるなど、危険を感じた時に駆け込める「子ども110番の家」に、子供が助けを求めたのに、家人がいないケースが札幌市内で相次いでいる。幸い、事件にはつながっていないが、地域の防犯拠点が十分に機能していないことが浮き彫りになった。家人に常に家にいてもらうわけにもいかず、関係者は頭を悩ませている。  今年六月、東区で下校中の小学四年の男児が車に乗った不審な男から声を掛けられた。怖くなった男児は「子ども110番の家」を見つけ、呼び鈴を押したが、家人が不在で家に逃げ込むことができなかったという。  男は立ち去り、被害はなかったが、子供を持つ母親からは「頼りの場所に誰もいないのは困る」との声が出ている。  こうしたケースは同じ時期に東区内でもう一件、昨年十月には豊平区でも起きている。豊平区の小学校教頭は「同様のケースはかなりあるのではないか」と話す。  「子ども110番の家」はまさかの時に子供に駆け込んでもらうため、民家や商店、事業所などを避難場所に指定する自主防犯活動。幼児や小中学生が被害者となる事件が相次いだのを機に「地域で子供を守ろう」と全国で始まり、札幌市では一九九九年から町内会やPTAなどが警察署と協力して指定を進めている。  市は市内の指定数を把握していないが、清田区の清田中央地区では九九年には約八十カ所だったが、今年四月には五百四十カ所に増えた。道警によると、道内では昨年末現在、民家や商店、事業所など十六万カ所が指定されている。  指定された「家」は玄関などにステッカーを張り、いつでも駆け込めることを明示している。ただ、「民家で常時、誰かが家にいるのは難しい」(ある町内会長)。  ステッカーを張って四年の厚別区の無職男性(68)は「なるべく家にいたいが、用事や買い物での外出も多い」と説明。東区の会社員男性(56)は「町内会活動の一環で義理で指定を受けた人もいる」と打ち明ける。  110番の家はボランティアで、家人に在宅を義務づけるわけにもいかず、不在対策に妙案はない。札幌市区政課は「コンビニエンスストアなどいつも誰かがいる所に協力してもらえるのがいいが、一般住宅でもステッカーを張るだけで、犯罪の抑止につながる面もある」と話している。(北海道新聞 引用)

0 件のコメント: