2007年9月23日日曜日

育成園理事長を告訴 札幌の元入所男性、障害年金の横領容疑で

社会福祉法人「札幌育成園」(本部・札幌市西区、曽我知夫理事長)が、道内で運営する知的障害者施設の入所者に障害基礎年金の寄付を強要していた問題で、同法人が寄付させていた年金を借入金の返済などに充てていたとして、元入所者の男性(47)が、業務上横領罪の容疑で曽我理事長を札幌地検に告訴していたことが二十二日、分かった。男性の代理人によると、同地検は受理し捜査に乗り出している。  この問題では、男性が年金などの返還を求めた民事訴訟で、同法人の行為を「横領」と認定した札幌高裁判決が確定。同法人の刑事責任を追及するため告訴した。  告訴したのは札幌市東区の松岡敏雄さん。一九九五年二月から約六年間、同法人の寿都浄恩学園(後志管内寿都町)に入所し、国から障害基礎年金約五百三万円が支給されていた。しかし、退所時に渡された現金は、百十円だけだったという。  告訴状によると、同法人は、寄付させていた年金のうち、国保料などを除いた約三百二十八万円を、施設建設借入金の返済などに充てていた疑いがあるとしている。  同法人は、入所時に本人や家族から寄付を認める承諾書を得ており、当初、厚生労働省が禁じる寄付強要に当たらないとしていた。  しかし、問題発覚後、道がこうした行為を「寄付強要」と認定。松岡さんが起こした年金などの返還を求めた民事訴訟でも、二○○六年四月に確定した札幌高裁の判決は、承諾書について「年金を贈与する意思表示をしたとは考えがたい」とした上で、寄付強要を「横領」とし、法人側に寄付された年金を含め約八百四十五万円の賠償を命じた。  同法人は道の監査結果などを受けて、入所者約三百五十人に、年金と未払いだった農作業や訓練作業の賃金について計約十二億円を返還している。  松岡さんの代理人の大石剛一郎弁護士(東京)は「寄付強要はこの施設だけの問題ではない。障害者に対する人権侵害の状況に歯止めが必要だ」と告訴の理由を語る。松岡さんは「入所している仲間のために闘いたい」と話す。  札幌育成園の曽我理事長は告訴について「中身を把握していないのでコメントできない」としている。(北海道新聞 引用)

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