2007年6月3日日曜日

看護師の副院長急増 04年の3倍、道内は8病院 患者に近い視点反映へ

 副院長に看護師を起用する病院が全国で急増している。全国病院事業管理者等協議会(事務局・川崎市)の調査では一日現在、約九千の病院のうち百六十八カ所で就任、二○○四年の五十一カ所の三倍に増えた。病院側は、患者と密に接する看護師の視点を病院運営に反映、患者本位の医療を充実させて経営改善につなげる考えだ。
 独立行政法人化や赤字経営で改革を迫られた大学病院や公立病院で目立って増えているのが特徴。大学病院では二○○四年には三カ所だったが、現在は二十八カ所と、約九倍になった。公立病院も十四カ所から約三倍の四十三カ所に増えた。
 道内でも東札幌病院が一九八七年に全国で初めて導入したのを皮切りに、札幌医大病院、市立札幌病院、網走脳神経外科リハビリテーション病院など八カ所に。昨年まで二十年間、副院長を務めた石垣靖子理事は「看護の重要性が認められたことの表れ。医師との共同作業がやりやすくなる」と意義を強調する。
 看護師の副院長は、患者サービスを担当することが多い。赤字に苦しんできた市立札幌病院では、昨年四月から看護師を副院長に登用。この副院長を中心に、サービスアップ推進委員会を発足。投書箱の声を反映させ、面会時間を延長し、病室の洗面台に棚を設置するなどきめ細かな改善に取り組む。
 札幌医大病院も四月、独立行政法人化を機に看護部長に副院長を兼任させた。担当は患者サービスなど。「サービス充実を通して、病院の質を向上させることが、経営面でもプラスになる」(同病院)と期待する。
 医療法では病院長を医師に限定、看護師は院長になれない。だが、医師は専門科以外には目が届きにくい側面がある。医師で病院の経営改革に取り組んできた武弘道・同協議会長は「患者本位の医療充実につながる動き。病院スタッフの半数以上を占める看護師も経営に目を向けるようになる」と利点を指摘する。

(北海道新聞より引用)

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